2011年8月12日。今日から石狩湾で、毎年恒例の「Rising Sun Rock Festival」が開催される。DJ KRUSH、にせんねんもんだい、Okamoto’s、Y.Sunahara(砂原良徳)を見に、2年ぶりに行ってこよう

・・・と思っていたそんな朝、知人のブログを見て驚いた。

 ジョー山中が、亡くなったという。

 びっくりした。

 それと同時に、

 がっくりした。

 だってちょうど2年前の夏、RSRにジョー山中が、Flower Travellin’ Bandで出演したんだもの。石間秀樹の妖艶でぶっ飛んだ音色を奏でるイイ楽器・ギターラに載せ、名曲「SATORI」では驚異的なシャウトを聴かせてくれたし、元ハプニングス・フォーのシノ篠原のハモンドもいい味出してたし。

 開演10分くらい前は会場のアーステントが奇跡的にスッカスカで、最前列(石間秀樹の目の前)で見ることができた。でも終演直後、会場を振り返ると客が大勢。イイもん見たなと、日本のロック後追い者(俺)は感動したものです。

 とにかく、ジョー山中は日本のロックにとって、なくてはならない存在だ。

 FTBがいたからこそ、日本語でロックするべきか、英語でロックするべきか。なんてメロディーに歌を載せるギミックの考案がなされたわけだし。そこで興味深いのが、彼が歌う日本語のロックもイイということ。

 それはクニ河内、石間秀樹らと録音した「切狂言」。

 「セリフはうまく言えるかい?」

 シェークスピアの世界劇場(生きるものは皆、何かを演じている)をなぞるような、不思議な作品。ここに収録されている「タイム・マシーン」、「おまえの世界へ 」、「恋愛墓地」の3曲は、どう考えてもジョー山中以外、歌えない曲だと思う。彼だから歌えた、あのハイトーンボイジングがあったからこそ、オルガンとギターのノイズに埋もれることなく、「ROCK」できたのだろう。6~7年ほど前、この切狂言の復活セッションを見たとき、ジョー山中の声量とシャウトに、度肝を抜かれた記憶がある。そのとき、そんなことを感じたもんです。

 だからといって観客をロックの彼岸へ突き放すだけではなく、老若男女の聴き手の耳をきちんとソフトランディングさせるエンターテイナーとしての才覚も、確実に持ち合わせていたジョー山中。ライブ終盤には「スタンド・バイ・ミー」を歌い、マイク片手に会場を歩き回り、観客とコールアンドレスポンス。「なんか恥ずかしいな」と思ったけど、今思えばあれは、ジョーのフトコロの広さとサービス精神だったんだろうな。

 もし、ジョー山中がいなかったらと妄想してみる。

 (1)FTBはいなかった
 (2)切狂言もなかった
 (3)人間の証明のテーマもなかった

 それはつまり、日本のロックがもっとつまんない状態だった、ということ。

 彼がいたから、かつての日本のロックはとてつもなくおもしろかった。

 だからこそ言いたい。

 ジョー、ありがとう!

 俺はギターも弾けないしジョーのようにシャウトもできないし声量も無いけれど、これからもFTB、切狂言、そのほか彼の録音された歌声を、聴き続けようと思う。

 ジョー。今日の札幌の空は、晴れているよ!

 これから、石狩湾に行ってくるぜ。

 帯広が誇る鋭角パンクバンド黄金クリムゾン。俺が彼らのライブを初めて見たのは、2010年11月。遠藤ミチロウのオープニングアクトで出演したときだった。尺はわずか20分程度だったと思う。正直に言おう。客は思ったよりも少なかった。にもかかわらず、極低温のライブハウスを四の五の言わずに、1・2・3・4のカウントで、一気に最大戦速まで加速させるハイスピードで不審船を撃墜するイージス艦みたいな、タイトなロックンロールをぶちまけた。そして炎上した。俺のココロが。完全に。

 不審船(俺)はステージの大海原を爆走するイージス艦の全方位レーダーに完全に補足され、逃げ場を失っていた。逃げようにも、時速8万ノットの超快速で疾駆するイージス艦が追いかけてくる。俺にジャミング装置はない。光学迷彩なんてもちろんない。1981年製の、肉と骨でできたヤワな船体だ。だから気がついたときには、ミサイルみたいなギターとベース、さらにドラムという名のバルカン砲による全開フルスロットルの完璧な爆撃を受け、俺の心は完全に打ちのめされたていた。からっぽだ。からっぽの世界だった。そのからっぽの世界になった脳みそにダイレクト注入するかのごとく、極鋭角のスルドすぎるパンクが俺のカラダを蝕んでいった。

 それは快感だった。やったことはもちろんないけれど、きっと高純度のドラッグのに近い効き目だったのではないか。

 そして遠藤ミチロウ。ギター1本で、かくまでも人間の怨嗟や憎悪を歌うことができるのかと、それはそれは恐れ入るパフォーマンスだった。鬱屈しながら、しかし突き抜ける。三上寛と入り口は異なるが、出口は一緒。そんな不気味さに驚きつつ、アンコールがはじまった。なんと、黄金クリムゾンの3人とスターリンのカバーを絶唱。

 「毒殺!毒殺!毒殺!」

 それはキレイで安心して着地できるブルーハーツ(俺は大嫌いだ)的なOSとは180度真逆にある、殺気と怒気が束になって襲い掛かってくる、鋭角にさらに鋭角の磨きがかかった切れ味の鋭い、鋭角の鋭角なパンクだった。

 仏像でいえば不動明王。

 ファイナルファンタジーならバハムート。

 マイルス・デイヴィスのアルバムで言えば「ダーク・メイガス」。

 憤怒の面構えでメガフレアを繰り出し、聴き手(俺)のクソみたいな日常と煩悩をマッハで焼失させる。これは菩薩だ。みうらじゅん的に言えば、ロックンロールによる救済だ。

 安易でヤワでデリケートでクソみたいな俺のハートは、不動明王に完全に燃やされた。

 「こんなバンドが帯広におったんや!」

 俺は降参して、黄金クリムゾンのファンになった。

 そして今、俺の脳みそは黄金クリムゾンに占領されている。

 前の投稿から、あっという間に1カ月・・・。

 せっかくブログシステムを立ち上げたんだから、更新しなきゃ。

 てなわけで、ここ最近で仕入れたブツ(音源)を開陳してみよう。

 ・ザ・トーイズ「昭和二世」(7インチ)

 ・寺内タケシとブルージーンズ「レッツ・ゴー・ジャンジャン」(7インチ)

 ・外道「ビュンビュン」(7インチ)

 ・遠藤賢司「遠藤賢司録音大全 第1巻 1968~1976」(CDボックス)

 ・遠藤賢司「遠藤賢司録音大全 第2巻 1977~1986」(CDボックス)

 ・郡山「ワン・ステップ・フェスティヴァル」CD(4枚組みCD)

 こんなところ。

 何よりも「昭和二世」。カルトGSのコンピCD「GSアングラカーニバル」を聴いたとき、松平ケメ子の次に感動したのが、ザ・トーイズの「昭和二世」だった。1968~69年のヤングの世相と心情を、いかしたエレキビートにのせて歌うこの曲は、戦争を知らない世代(その息子世代にあたる自分を含む)の「文化」を的確に真空パックしたような佳曲だ。

 続いて「レッツ・ゴー・ジャンジャン」。某オークションであせって入札。割と安価で買えた。大阪ミナミのジャンジャン横丁とは関係ありそうでなさそうな、やけっぱちのブルージーンズビート。10年くらい前は寺内タケシとバニーズがキてたが、最近はバニーズ後のブルージーンズもなかなかに侮れない存在だと思っている。

 外道の「ビュンビュン」の7インチは、ウワサどおりホーンセクションがオーバーダブされてて苦笑してしまう。でもね、そのホーンのアレンジが、ワンパターンじゃなくて、微妙にフレーズを変えたりしているのだ。そんな無駄な努力に1票入れたくなるものの、別にホーンがなくてもいいじゃねーかというのが正直な感想。なぜホーンを入れたのか。謎のだらけの外道。もちろん、ホーンがないほうがかっこいいのだけれど。

 そしてエンケン。俺、エンケンはボブ・デュランより好きです。ボブ・デュランは作詞家みたいなもんで(ボブファンの方、すみません)、彼の歌をカバーしたジミヘンなりバーズのほうがグッとくるのだ。そこへくると、エンケンは自分の曲をほかの誰のカバー以上に、かっこよく歌い、背筋が凍るようなフレーズをギターとハーモニカ(ときに打ち込み)で表現してしまうのだ。それがボブにできるか?ボブはそれをやったか?自分の曲を、自分以外の誰よりも自分の曲として歌い上げる才覚。そんなエンケンの才能を、この2箱のボックスは的確に教えてくれる。借金して買ってよっかったよー。

 最後は郡山「ワン・ステップ・フェスティヴァル」。外道や四人囃子など、1980年代生まれの日本のロック後追い者にとって、ライジングサンよりもフジロックよりもハッピーなこのフェスにあこがれている。正直なところ、ふざけたエコ思想やまがいもんのラブ&ピースを高いゼニを払って押し付ける21世紀の音楽フェスよりも、1974年、東北新幹線もまだ開通していなかった郡山で開かれたワン・ステップ・フェスティヴァルにこそ、音楽フェスの可能性と情緒、魅力を感じるのである。ウッド・ストックは、海の向こうの遠い国のできごとではない。日本にも、かっこいいバンドがゴマンといる。そんな当時のバンドのステージの奇跡的なドキュメント。この音源を通じて、はじめて「はちみつぱい」を聴いた。ずっぽりはまった。もし当時、自分がナマではちみつぱいを見ていたら、絶対にはまっただろうと思う。

 こうして音楽的散財は続くのであった・・・。

 2009年のフジロック。北海道から寝台特急「北斗星」に揺られ、大宮で新幹線を乗り継いで初参戦した。テント、寝袋、コンロ、酒。10キロくらいのあれこれをザックに突っ込んで、苗場の山でテントを張った。

 雨に打たれ、風に吹かれ、宮沢賢治のような世界で繰り広げられた夏祭り。生まれて初めてナマで見るスティーブ・ヒレッジのGONG & SYSTEM7でのギターアクションに大感動し、フェラ・クティの実子(だったけ)のセウン・クティ率いるエジプト80の強靭なグルーヴ感のとりこになったり、ポリシックスを好きになりそうになったり(このときのステージはすごくよかった)、頭脳警察の”意外”なハマリ具合にうれしくなったり。

 そんな苗場の山の2日目、前日の雨が上がってドバーっと晴れ渡った。北海道に住んでいるとなかなか体験できない日本の夏って感じ。テントの外に出てiPodでガンガンに音楽を聴いて日記を書いてたら、広島からきたサンフレッチェ広島を応援している男性となんとなくハナシをした。

 サンフレッチェ氏は首からライジングサンのパスケースをぶら下げてた。紫色のサンフレッチェユニフォームも着ていた。

 「俺、北海道から来たんですよ」

 なんて話し始めると、パスケースをおもむろに取り出して、サンフレッチェ氏はニコリとして

 「これ、最初のライジングサンに行ったときのパスケースなんですよ」と話した。

 最初のライジングサンと言うことは、1999年。ちょうど10年前。その当時俺は高校生。今の音楽なんてツマンネー、なんてうそぶいて、ブルーノートとマイルス・デイヴィスを妄信するような、排他主義的アホリスナーだった。せいぜい、ゆらゆら帝国がかっこいいなーと思ってるくらいの、北海道田舎在住の盆暗野郎だった。

 「もう10年なんですか。なんか、ちょっと前みたいな気がしてたんですけど」

 そんな具合に苗場の山で10年前を振り返る。

 「あのときは、ナンバーガールとスーパーカーも出たんだっけな」

 サンフレッチェ氏がおもむろに話し始めた。

 俺より2歳年上の彼にとってナンバーガールは別格のバンドだったそう。その当時の俺は上のようなアホ音楽生活を送っていたために、ナンバーガールのスゴさに気づかない盆暗な高校3年生だった。そんなアホ高校生がアホ大学生になって社会人になりかけるとき、ナンバーガールの「SAPPUKEI」を聴きなおして「このバンド、スゲー!」と感動したのだった。

 でも、そのときはとっくにナンバーガールは解散し、向井秀徳はZAZEN BOYSでギターを弾いていた。

 あのときライジングサンに行ってたら、ギターウルフと一緒にナンバーガールも見れたんだ。逃したサカナはデカイ。そのデカさを、苗場の山で気づいた。

 そして2010年。

 今度はもうひとつ、逃したサカナのデカさを思い知らされた。それは青森出身のバンド、スーパーカー。「Futurama」を改めて聴いて、かつてのナンバガールと同様の後悔の念を抱いている。なんで、あの当時ナマのステージを見なかったんだ!なんであの時、このバンドの音をちゃんと聴いてなかったんだ!と。

 2010年1月、「Futurama」にずっぽしはまっている。

 ROVOを聴く耳にはあまりにもストライクゾーンなイイ曲「White Surf style 5.」でトランシーな世界が広がったかと思えば、日曜日の午前中の空気感を音像化したようなハッピーな曲が万華鏡をのぞくような感じで、あるいはやや荒削りなコーネリアスみたいな感じで、次々とスピーカーから飛び出してくる。

 エレクトロニカ化した雪国出身のナンバーガール。「Futurama」のスーパーカーを乱暴に表現してしまえば、そんな具合になろうか。北海道出身者の自分としては、雪と冬の感覚をロックのイディオムでうまく結晶化したバンドだなと、このアルバムからそんな感慨を抱く。

 でもスーパーカーはもういない。ILLじゃ、やっぱり違う。キラキラ感が違う。ナンバーガールとスーパーカーを聴いて、10代から20代を駆け抜けたかった。

 そんな後悔を抱くたびに、苗場の山で出会ったサンフレッチェ氏がうらやましく思えるんだ。

 なんかこう、シャカイジンとして生きているということは仕事=金、タイム=マネーなカラクリで生きているわけでして、逆に言えば仕事しなければ生きていけない/カネがない=レコードが買えないwithライブにも行けない・・・

 わけなんでありますな。

 そんな今日この頃、レコードを買う、あるいはライブに行くための資金を集める、ために俺は働いているわけで、気がつけばちっと更新できずに1月が過ぎようとしている。

 光陰矢のごとし。

 先人は、うまい形容詞を作ったもんだ。ビューチフォー。

 そんな今日この頃。でもCDはバシバシ買ってます。

 最近の高額商品ではヴェルベット・アンダーグラウンドの通称「黒バナナ」こと、1stアルバムのアセテート音源、2ndアルバムのMONO音源などが収録されている音源を買ってしまいました。MONOで聴く「SISTER RAY」はヤバイ。ルー・リードとジョン・ケイルの才覚が、掛け値なしの真っ向勝負を挑んだドキュメンタリー要素が、心なしか強化されている気がします。んが、正規音源のステレオ盤を再生すると「こっちもいいなー」。いったいどっちがいいんだ!わけがわらなくなるモノステの境界線。その辺縁を行ったりきたりするヴェルベッツ。かっこいいぜ。

 続いて布谷文夫の「ロストブルースデイズ」。なんとなく「2人のブルース」のいろんなオトを聴きたくなったので、布谷文夫~DEWの音源で格安で捕獲できるものをできるだけ買いあさっている1月です。それにしても「立ち眩みライブ」が高価で取引されているなんて、ちょっと信じられない。どうでもいいけど「2人のブルース」のベストアクトは、今のところ「幻野ライブ」だと思っております。

 その幻野ライブをひさびさに聴いて、郡山ワンステップフェスティバルのCDが気になり始めました。その昔、某雑誌でディスクリビューを書かせてもらっていたとき、ついつい買い逃してしまった昭和日本ロック史の準重要アイテム的ブツだと、数年目にして気づいたのだった。乗り遅れまくれの俺。既に購入不能状態ながら、奇跡的に某オークションで偶然見つけて即BUY。これで四人囃子や外道を、ちゃんと聴けるぞ。わーい。

 このほか、CDがあるはずなのに自宅でディスクが遭難している鉄腕アトムのトリビュート的アルバム「Electric-Brain Featuring Astroboy」も中古安価でゲット。ジャンルはいきなりテクノ~エレクトロニカ路線にシフトしますが、これに収録されてるROVOの「ASTROVO」が泣けます。

 原子力で動くマシーン=アトムというロボットに、喜怒哀楽の微妙な感性を与えるような、そんな感性を先天的に抱いているような。ツインドラムの駆動力とベースのクールなグルーヴ感(この曲で「ROVOのベースはかっこいい!」と気づきました)、そして勝井祐二の天衣無縫なエレキバイオリンの音色と残響。天馬博士の理学を超えたピースフル=原子力の純平和利用、みたいなストレンジでスウィートな優しさを感じさせる音塊が何年かぶりにスピーカーから飛び出して、俺のハートもピースフル。ところで気持ちを落ち着かせて音を聴いてみると、奇才・山本精一のギターがぜんぜん聴こえないのが気になった。

 手塚るみ子さんって、侮れない存在だと思います。父の手塚治虫の作品と、エレクトリックミュージックとを結びつけた稀有な存在。この「Electric-Brain Featuring Astroboy」だけでなく、スティーブ・ヒレッジ率いるSYSTEM 7で「PHONIEX」(あるいはHINOTORI)のコラボを実現させて、しかも去年のFUJI ROCK FESTIVALで「HINOTORI」をナマで聴けたんだもん。日本人でよかったーと思う今日この頃です。

 この駄文は会社の飲み会の帰りにドバーっと書きました。

リンク・レイ「アーリーレコーディングス」(Link Wray Early Recordings)

 2009年9月のシルバーウィーク。遠藤賢司のライブ2本と年に1度のロックンロールイベント「ロッケンローサミット」を見に東京へ遊びに行ったとき、新宿のディスクユニオンで「なんじゃこれ!」と釘付けになったのが、Link Wrayのこのアルバム。ペラペラな紙ジャケで、黄色いバックに赤い文字でLink Wrayとあるやたら目立つジャケット。Link御大はトレードマークとも言えるものすごいボディのギターを、真剣な表情でかまえている。ここで笑顔を見せていないのがイイ。すかさず帳場に持って行きました。

Link Wray / Early Recordings
1. Batman Theme
2. Ace Of Spades
3. Cross Ties
4. Jack The Ripper
5. Hidden Charms
6. I’m Branded
7. The Shadow Knows
8. Fat Back
9. Run Chicken Run
10. Black Widow
11. Scatter
12. Turnpike Usa
13. Mr Guitar
14. Rumble

 サーフ/ホッド・ロッド系の定型的ロックンロールとはベクトルを異にするような、独特のザラついたフレーズでロールしまくるLink Wrayのギターサウンドがテンコ盛りのアルバムは、まさに「Early(早すぎた)」ガレージロックの総本山みたいなものか。「そんな音楽ばっかり聴いてたら頭が悪くなるからやめなさい!」とお母さんに怒られながら、でも「俺もバンドやりたい!リンク・レイみたいな、かっこいいギターを弾きたい!」というアメリカの男子のハートをわしづかみにするキラーチューンは、ともすれば録音から60年近くたった21世紀の今だって、十分にキラー過ぎる。

 名曲「Batman Theme」はもとより、ダークなギターリフがたまらない「Ace Of Spades」「Jack The Ripper」「Fat Back」の3曲は、題名を見ないと同じ曲だと思っちゃうくらいの金太郎アメ状態。でもそれでいい!これがいい!。「Black Widow」ははYardbirdsがカバーしてそうな気がする。そして「Hidden Charms」はもう完全に、適正なガレージナンバー。「ガレージ」を巡る解釈はさまざまあれど、ノイジー、とっぽい感じ、ザラザラ、ギラギラ、ラフ、荒削り、かっこいリフ、という要素をガレージとするならば、その条件を全部満たしている怪曲。安直なリズムに、かっこいギターがギャンギャン鳴りまくるんだぜ。

 そしてシメの「Rumble」。もしこの曲をLink Wrayが作っていなかったら、ギターウルフのライブのエンディングはどうなっていたのだろうか、そしてギラギラ系のロックンロールの歴史は、今よりもうちょっとおとなしくなっていたのではないか、なんて妄想がどんどんわいてくる。

 とにかくかっこいいLink Wray。やっぱり1950年代~60年代のアメリカのロックンロールは、永遠にかっこいいと思いたくなる。そんな空気感が、ギュッと真空パックされている1枚。1家に1枚、Link Wray!

 昨年末、関西を旅したとき、大阪は心斎橋のタイムボムに初めて寄ってみた。うわさの通り、1960年代のいかしたブツがたくさんあった。キンクス、60ズUSガレージ、ニートなビーツがぎょうさん。てんこもり。そんな店で最も気になったのは、ヴェルベット・アンダーグラウンドの7インチボックスセット。

 「いつのまにこんなハコが出てたんですか」。2009年はビートルズ箱、クラフトワーク箱、さらにワイルドワンズ箱を格安でゲットするなど、ハコの物欲はすさまじい。まさにハードコア。いや、そんなマイナス273度な絶対零度のギャグはともかく、ヴェルベッツのハコを心斎橋で見かけたとき、俺の心はガクガクと揺れた。だって、死ぬほど好きな「White Light,White Heat」の7インチ盤が、2枚も収められているんだぜ。

VELVET UNDERGROUND Singles 1966-69

THE VLVET UNDERGROUND SINGLES 1966-69 (sundazed 2009)

Single One – ALL TOMORROW’S PARTIES / I’LL BE YOUR MIRROR(Verve VK-10427)
Single Two – SUNDAY MORNING / FEMME FATALE (Verve VK-10466)
Single Three – WHITE LIGHT,WHITE HEAT / HERE SHE COMES NOW (Verve VK-10560)
Single Four – WHITE LIGHT,WHITE HEAT / I HEARD CALL MY NAME (Cancelled Single)
Single Five – TEMPTATION INSIDE YOUR HEART / STEPHANIE SAYS (Cancelled Single)
Single Six – WHAT GOES ON / JESUS (MGM K-14057)
Single Seven – VU RADIO SPOT (MGM VU-1)

VELVET UNDERGROUND Singles 1966-69

 と書いてみても、CDの音源でしか慣れ親しんでない聴覚には、どんな音が収められているのかさっぱり想像がつかない。でも、死ぬほど好きな(ってしつこいな!)「White Light,White Heat」が、7インチで聴けるのだ。うぅぅ~~~ん。ほわいらい♪というわけで、迷わずレジに向かった。ちなみにタイムボムのお値段は4980円。かんたんな日本語解説(A4用紙1枚)もついてきた。

 7インチハコを慎重に北海道へ輸送し、帰宅して針を落としてみた。もちろん、最初に聴いたのは「White Light,White Heat」。1曲のために記録メディア(円盤)のすべてを使う7インチ盤は、音楽にとって最も幸せなフォーマットだなと思う。そんなぜいたくが、ヴェルベッツで味わえるのだ!これを幸せと言わずに、なんと言おうか!

 ・・・という前置きはともかく、Single Threeの「WHITE LIGHT,WHITE HEAT / HERE SHE COMES NOW」。これがMONOの音なんです。いままでステレオ音源アルバム「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」ばっかり聴いていた耳には、より音が悪くなり、音のくぐもり方が強くなったこの7インチ盤のほうが「ヴェルベッツらしいかも」と感じている。B面の「HERE SHE COMES NOW」もCDのほうが明らかに音質はくっきりしているけれど、やっぱりヴェルベッツらしいな~と、同様の感覚を抱く。

 そしていちばん気になっていたSingle Four。「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」こそSingle Threeと同じだけど、B面の「I HEARD CALL MY NAME」がやばすぎ。アルバムではまぶたの裏にギラギラ光る非日常のLSD体験(俺はやったとこないけれど)を音像化したような「SISTER RAY」のオーバチュアとも言えるこの曲は、モータッカーがドコドコとドラム叩きまくる快適なグルーヴ感に、フィードバックノイズが銀河のように渦巻き、銀色と黒色の2色だけで発狂するロックンロール。その銀河系ロックンロールが、7インチの溝にがっしりと、しかもMONO音源で掘り込まれているのだ。この曲だけでも、ボックスを買う価値はあると思う。

 ニコのボーカル&ウォホールとジョン・ケイル脱退後のヴェルベッツには食指があまり動かない自分にとって、すなわちアルバム「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」が死ぬほど好きな自分だからこそ、この3枚目と4枚目のシングルは重要なアイテムになりつつある。やっぱりルー・リードがベロベロに歌いまくって、ジョン・ケイルがギラギラ、ザラザラしたフレーズを多用するノイズ/サイケロックンロールバンドとしてのヴェルベッツは最高だ。

 このボックスセットのおかげで、今度はMONO盤のアルバム「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」を探してしまいそう。

 2009年8月、ライジングサン@石狩湾新港のアーステントで6年ぶりにギターウルフのライブを見て以来、彼らがつむぎだす爆音ミラクルロックンロールに再び痺れた。スピーカーから電気、いや雷みたいな爆音ノイズが、ピーピーガーガー鳴り響くアーステント。それからというもの、完全に狼ロックのとりことなった俺は9月のロッケンローサミット@渋谷、そして12月6日のベッシーホール@札幌と、ギターウルフを追い続けている。

 こうして地上最強のロックンロールアイドルとしてのギターウルフを”再発見”した2009年を締めくくるかのように、ギターウルフは5曲入り15分のミニアルバム「ジェット サティスファクション」をリリース。仕事と私用でドタバタしてた年末をやりすごし、2010年1月3日、俺は札幌のタワーレコード・ピヴォ店で、特典シールのおまけ付きを買った。2010年、最初の1枚。2009年のライブを収めたダイジェストDVD付き。

 というわけで、股関節の手術をひかえているセイジのギターノイズと高校生アクションなシャウトが真空パックされたミニアルバムの中身を、事細かに書いていくぜ!

ギターウルフ ジェットサティスファクション

ジェットサティスファクション(初回生産限定盤)(DVD付)

ギターウルフ「ジェット サティスファクション」
01.ジェット サティスファクション
02.ビルディング Z
03.エジプトロック
04.ワイルドレストラン
05.デビルクチビル

<特典DVD>
・環七フィーバー
・オールナイトでぶっ飛ばせ
・ジェット13
・インベーダーエース
・ワイルド・ゼロ
・ロックンロールエチケット
(Live@新代田FEVER=2009.03.03)

・星空ジェット
・ジェットジェネレーション
・オールナイトでぶっ飛ばせ
・ケンカロック
(Live@Rising Sun Rock Festival 2009 in EZO=2009.08.14)

 まずは1曲目、「ジェットサティスファクション」。バイク、皮ジャン、ロッケンロー!ウルフロックの必須アイテムをそろえて、お前がいれば最高!ファイアー!単語だけを並べると、あんまりピンとこないけれど、セイジの電撃ギターが鳴り捲れば、とたんにロックンロールする。スゲー。この感じは、電気ビートに載せてクールなグルーヴを生み出すクラフトワークとおんなじくらい、シュールでかっこいいぞ。

 続いて「ビルディング Z」。朝日を浴びて、次から次へとビルディングが空を飛ぶ!意味わかんない歌詞!しかもなんでZ!意味を求めることに意味がないのかどうか、足りない脳みそで考えてたら、今度はエジプト!ファラオあり、ピラミッドあり、スフィンクスあり。クレオパトラもあるでよ。もしかすると、ギターウルフにとって火星もエジプトも同じようなものなのではないか。というひらめきが訪れる1曲。夏の暑いに日に、ビールをガンガン飲みながら爆音で聴いてみたい。

 そして「ワイルドレストラン」。ギターウルフの注文は、宮沢賢治よりも少ない・・・のか。「食べたいのは君のからだ」とストレートに歌う4曲目は、フライパンの上で熱くなってるらしい。わけわかんなーい。が、3ピースのウルフロックンロールが言葉を強力に結びつくと、予定調和の文体なんてハナクソみたいに消し飛ぶんだ。「島根スリム」と歌ったギターウルフは、日本語でロックンロールする可能性を、限りなく広げている・・・のだろうか。

 最後の「デビルクチビル」。この曲、1~2歳児に聴かせて、一緒に歌ってみたい。きっといけると思う。そういえば2009年12月6日の札幌ベッシーホールでは、この曲を披露した後に「UFOロマンティクス」をやってくれた。イイ思い出です。「高校生アクション」「環七フィーバー」と同じくらいギターウルフの定番曲となりそうな「ジェットサティスファクション」も最高だが、おまけのDVD が、おまけ以上の魅力があるんです。なんてたって、俺が痺れた2009年のライジングサンの映像が収められているんだから!


↑DVDのタイトル画像

 ちなみに新代田FEVERの日付、裏ジャケとインサートのクレジットでは「march 3,2009」となっているのに、DVDのオープニングキャプションでは「march 23,2009」となってます。いずれにせよ、1発目の「環七フィーバー」で一気に最高速度のミラクルロックが飛び出すんだ。ンな細かいこと、どうでもいいじゃねーか、ってUGなら言いそう。俺もその通りだと思う。

 そんな3人のウルフたちに会いに、2010年1月24日の恵比寿リッキドルームへ行こうと思っている俺でした。