北海道のやや真ん中にある冷凍都市、帯広で活躍する”高速ブルースパンクバンド”こと黄金クリムゾンと、青森を拠点にイカしたロックンロールを響かせているWAYBARK(ウェイバー)のライブが2011年1月23日、帯広のライブハウス「REST」で開かれた。
黄金クリムゾン、WAYBARKの2バンドで札幌、北見、帯広、小樽を回る北海道対バンツアー「黄金クリムゾン×THE WAYBARK
~夏の魔物 北海道完全感染計画~北海道TOUR 2011」と銘打った道内ライブの3日目。初日の札幌HALL SPIRITUAL ROUNGEもかなりにぎわっていたが、帯広RESTも負けちゃいねぇ。黄金クリムゾンのホームタウン帯広では、そりゃ盛大で骨太で高速なパンクロックを鳴らしまくっていた。
んがしかしWAYBARKも負けちゃいねぇ。ボーカルのだいち69(今年で25歳!)のアグレッシブなパフォーマンスを交えた歌唱で、「俺、黄金大好きだけどWAUBARK見るのは初めて」という帯広のロック男子(20代後半)を「うわ、超すげぇ、まじかっけええ」と感動の渦に巻き込むほど、イカレタまくったロックンロールを炸裂。爆裂。
WAYBARKの曲名は、まだ全部アタマに入っていない。でも彼らの1千円のアルバム「マイ・ジェネレイション」収録の「happy happy ~寂れた町の冬~」は、「すぐに曲名を覚えたい!」と思いたくなる曲だった。ロックンロールのすきまに、突如エアポケットのように現れるスローパンク。ギターのノイズがフェードイン状に強まっていって、北国特有の極低温からのカタルシスを爆発させる・・・。みたいな曲だ。曲の雰囲気は大幅に異なるけれど、この驚きは2004年くらいにメジャーデビュー前の50回転ズ関西で見たとき、彼らが鳴らした「天王寺エレジー」に衝撃を受けたのと、ほぼ同じ衝撃を感じた。この曲には彼らの可能性を感じたなぁ。
で、WAYBARKの次が黄金クリムゾン。彼らのいいところは、語りたいことを音塊にこめていること。アンプから破壊力と殺傷能力の非常に高い、鋭角的で攻撃的な音を出している、北海道でも稀有なパンクバンドだと直感している。そんな黄金クリムゾンのメンバーは、シンタロウ(vo>r)、ちゅんちゅん(bass)、Shinya(drums)の3人。
とにかくすごいのが、ドラムとベースの2人だ。Shinyaはビースト系なパンチ力のあるドラミングなのに、たたき出したパワーが一か所にとどまらず、ツボをつくように的確に解放するような、突き抜けるリズムを刻む。そしてその突き抜けるリズムを追いかけるように、ちゅんちゅんのベースがリズムとリズムの谷間を接着剤のようにつなぎとめる。元ギタリストということもあってか、ピックで手数の多いベースを弾くのがうれしい。これがライブをこなすごとにベースの振動力が強まっていく(あくまで勝手な外野の意見)ような気がする。それは「ゴールデンカップスのルイズルイス加部も、こんな感じだったんじゃないか」という予感すら抱かせるほどだ(あくまで勝手な外野の意見)。
だが、この2人だけじゃぁ黄金ロックは成り立たない。3人のメンバーではいちばん若手なのに、やたら日本のロックに精通しているシンタロウの頭脳と、ギターノイズが無けりゃだめだ。この日のライブではいきなり弦が2本切れるというハプニングがあったものの、それでも弾きまくる。これはもう、ギターウルフに近い美しさだ。ライブの中盤では客をステージに上げ、ギターを弾かせるというロックアクションもあり、まさかの4人編成体制で、帯広のロックシーンを盛り上げている。熱いバンドだ。